<イベント内容>
謎めいていて、バカげていて、ワクワクするような文学の冒険に満ちた重量級の作品を発表し続け、デビュー以来50年近くたつ現在もなお世界文学の最高峰に君臨する屈指の天才作家トマス・ピンチョン。その全小説作品をすべて訳し下ろし、新訳、改訳で刊行してゆく新潮社の「トマス・ピンチョン全小説」(全8作品、12冊の予定)がいよいよ始まりました。
その先陣を切るのは『メイスン&ディクスン』、名翻訳家柴田元幸氏がその翻訳に10年の歳月を費やしたピンチョンの新たな代表作です。
ときは18世紀中頃、独立戦争直前のアメリカで、領地紛争の解決のためチャールズ・メイスンとジェレマイア・ディクスンという(実在した)ふたりの天文学者が境界線を引くべく測量の旅を行うのですが……。誰も見たことのないアメリカの始まりを描き、高い評価を得たこの作品の刊行を記念して、ピンチョン作品に並々ならぬ愛情を表明されている作家・古川日出男さんと本作の訳者・柴田元幸さんが作者と作品を巡って熱く語り合います。
柴田元幸(しばた・もとゆき)
1954年生。東京大学教授、翻訳家。
ポール・オースター、リチャード・パワーズ、スティーヴ・エリクソン、レベッカ・ブラウン、スティーヴン・ミルハウザー、バリー・ユアグローなどアメリカ現代文学の翻訳多数。自著『生半可な學者』で講談社エッセイ賞、『アメリカン・ナルシス』でサントリー学芸賞を受賞。2008年より文芸誌「モンキービジネス」の責任編集。
古川日出男(ふるかわ・ひでお)
1966年生。作家。1998年に『13』で小説家デビュー。
2002年に『アラビアの夜の種族』で日本推理作家協会賞と日本SF大賞を、2006年に『LOVE』で三島由紀夫賞を受賞する。『ベルカ、吠えないのか?』『ゴッドスター』『ハル、ハル、ハル』『聖家族』など、著書多数。近刊に『MUSIC』(新潮社刊)。最新刊『4444』が河出書房新社より7月10日刊行。
『メイスン&ディクスン』上・下
トマス・ピンチョン著 柴田元幸訳
税込価格3780円/発売日6月28日(月)
新大陸に線を引け――。
ときは独立戦争直前、ふたりの天文学者によるアメリカ測量珍道中が始まる。
1786年年末、独立戦争の余燼冷めやらぬ雪のフィラデルフィアで、チェリコーク牧師は幼い双子の甥たちに語り始める。20余年前の、盟友チャールズ・メイスンとジェレマイア・ディクスンによる長い長い旅の物語を。のちにアメリカを南部と北部に分かつことになる、史上名高い境界線〈メイスン・ディクスン線〉を引くことになるふたりの珍道中を。次々に現れる得体の知れない登場人物、奇怪なエピソード、唐突に歌い出される歌の数々。精緻な史実の集積と雄大な構想力を背景に、醸し出される微笑、苦笑、爆笑の嵐――そして深い感動。名翻訳家が10年を賭して訳しあげた、世界文学史上屈指の天才による新たなる代表作。